専門医について

歯科で厚労省が専門医として認めているのは、図の5つだけです。これ以外で専門医・認定医と言っている会には、同好会レベルから歴史・認定基準まで厳しいすばらしい会と玉石混交です。ちなみに歯周病専門医は約10万の歯科医師の中の1%の千人強です。

専門医の取得は、どちらかといえば研究をしながら大学に残っている先生に有利というのは否めません。私のように臨床を30年したうえで取得するというのは珍しいと思います。

専門医はその方面に関して、一般医より技術・知識において上位と位置付けられております。
しかし、歯科医学は補綴(入れ歯・被せ物)、保存(神経の治療・詰め物)、歯周病、小児歯科、口腔外科(抜歯)インプラント、咬合論・矯正等の総合学問でそれらを統合した診断力・施術力が必要です。
そこに経験が長くあらゆる歯科治療分野に精通している私のようなベテランが専門医を取得する意義があります。(治療分野については「診療案内」の項をご覧下さい。)

一般の患者さんは、その先生が大学卒業後ちゃんと継続して勉強しているのか、そうでないのかはわかりません。
きちんとした学会の専門医はそういった時の歯科医院を選ぶ(探す)判断基準の1つになります。

歯周病専門医

現在、歯周病学会歯周病専門医を取得するには、まず歯周病学会歯周病認定医を取得する必要があります。

歯周病認定医基準

  • 学会在籍3年以上。その間に学会指定の研修を受講。
  • 筆記試験(歯科医師国家試験に準じる)
  • 1ケースの症例報告

歯周病専門医基準

  • 学会在籍5年以上。その間に学会指定の研修を受講。
  • 1次審査:10ケースの症例報告(全てが水準に達していないと合格できません)
  • 2次審査:審査官の前で実地の症例をプレゼンし、口頭試問。
  • 厚生労働省が認可した資格で、広告することが正式に認められている。(希少です)

実際に受験した立場では、認定医では筆記試験(卒業後○十年経っていましたので・・)
専門医では10ケースの症例報告・プレゼンのどちらもたいへんでした。
歯周病認定医と専門医では、私自身は要求されるレベルが全く違いました。

10ケースを指導教官と整理していく過程が、自分にとってたいへん価値のある修練の期間でした。プレゼンは歯周病治療全般にわたって精通していなければなりませんので、私のように大学卒業後(家庭の都合で)すぐ開業医で修業した人間にとってレベルアップにつながりました。

実際の症例です。

このように歯周病により骨が溶けたところに、組織が再生する治療(保険外)を行っています。
全ての場合にできるわけではありません。
「どのような場合に、どういった治療法を行う」かは、(専門医の)技術とその人にとっての良い治療方針を相談して決めていける歯科医師の人格が表れます。

良い歯医者の探し方の一例

ホームページ(HP)を見ていると、自称インプラントの権威(?)や海外留学、多数の所属学会が並んでいます。

HPで何を見るかというと、院長先生の名前(姓名)のみです。後は「ああ、この病院はこの治療をしたいのだな(たいていインプラント)くらいです」。
学会は歯科医師で入会金・会費を払えば入れますので、何の学会に入っているかくらいは見ますが、あまり参考にしていません。

院長先生の姓名(例:○野○男)がわかったら、Googleに「○野○男歯科」と入れてみて下さい。
その先生の学術的な活動がわかります。(歯科と入れるのは、同姓同名の方もおられますので、分野を限定するためです)論文があれば、何の論文かタイトルだけ(でも)見ます。
HPでインプラントを前面に出しているのに、全くインプラント方面の記録がなければ、不思議だなと思います。
Googleを使うのは、HPより客観性があると思われるからです。

歯科の仕事は最後に被せる事が多いので、大事な基礎工事は直接には見えません。
見えないところに手を抜かないというのは、技術もですが人柄です。
結局ネットを駆使しても、最後は人物を見る観察力がないと、いい先生には巡り合えないと思います。医療は、人対人の関係性の中での行為ですから、曖昧な結論になってしまいます。

審美歯科